“怪しい中古”から“信頼できる選択肢”へ。
リユースPCが変わった25年と、これからの25年。
発刊にあたって
25年前、リユースPCは「安かろう、悪かろう」と見られることも少なくありませんでした。その見方は、この四半世紀で少しずつ変わってきました。
リングロー株式会社は2001年の創業以来、リユースPCの再整備・販売を中心に事業を続けてきました。修理、卸、法人向けサービス、データ消去、保証、サポート、地域でのIT支援などへ事業領域を広げながら、「リユースPCでも安心して選べる」ための仕組みを積み重ねてきました。
本白書では、国内リユース市場の拡大、PCの利用実態や環境負荷、Windows 10サポート終了などを背景に、リユースPCを取り巻く約25年間の変化を整理します。あわせて、リングロー自身の25年間の事業経験や調査結果を重ねることで、「リユースPCがどこまで変わってきたのか」「これからどのような役割を担うのか」をまとめました。
特定の商品を売るための資料ではなく、「新品かリユースか」ではなく「信頼できるか」でPCを選ぶ社会に向けた、事実の共有を目的としています
■ 第1章 “怪しい中古”から“信頼できる選択肢”へ
──25年で変わったのは、性能だけではなく「信頼の仕組み」でした。
25年前、リユースPCは、価格の安さが大きな魅力である一方、「状態が分からない」「保証がない」「壊れたら終わり」といった不安を伴う商品でもありました。
現在のリユースPCには、再整備・動作確認、データ消去、保証、修理、購入後のサポートなど、品質や安心を支えるためのさまざまな仕組みがあります。
リングローが2026年7月、勤務先の業務用PCの購入・調達に関与する300名を対象に実施した調査では、本調査に回答した300名のうち59.0%が、勤務先で現在リユースPCを利用していると回答しました。
なお、この数値は回答者単位の集計であり、日本企業全体におけるリユースPCの普及率を示すものではありません。

さらに、現在利用している177名と、過去に利用したことがある22名を合わせた199名に導入理由を複数回答で聞いたところ、最も多かったのは「必要な性能・スペックを満たしていたため」の48.7%でした。「保証・修理対応が充実していたため」は38.7%で、「新品より導入費用を抑えられるため」の38.2%とほぼ同水準でした。
今回の回答者においては、リユースPCは単に「安いから」ではなく、業務に必要な性能や購入後の安心まで含めて選ばれていることがうかがえます。
中古端末が生活者の選択肢として広がっている一例が、中古スマートフォンです。MM総研によると、中古スマートフォンの販売台数は2025年度に360.7万台となり、7年連続で過去最高を更新しました。新品と中古を合わせた販売・出荷台数に占める中古比率は10.3%に達しています。
25年前との認識変化を直接比較できる統計はありません。一方で、現在の利用実態を見ると、「リユースだから安い」という価値だけでなく、必要な性能があるか、安心して使い続けられるかまで含めて判断される場面が生まれています。
■ 第2章 2030年4.6兆円を目指すリユース市場
環境省が2026年3月に策定した「リユース等の促進に関するロードマップ」によると、国内のリユース市場規模は2024年時点で3兆4,986億円です。2030年には4兆6,000億円への拡大を目標としており、生活者のリユース実施率についても、2024年の40.8%から2030年に50%まで引き上げる目標が示されています。
リユースは、限られた層が利用する特別な消費行動ではなく、より多くの生活者にとって身近な選択肢になることが政策面でも期待されています。
一方、リユース経済新聞の調査では、リユースPC市場は2023年時点で約1,048億円と推計されています。
ただし、PCについては台数ベースで市場の動きを継続して追える統計が十分ではありません。市場がどの程度の規模で、どのような人に、どのような理由で利用されているのかを把握するための共通のものさしが不足しています。
本白書を今後定点的に発行する目的の一つも、この「統計の空白」を少しずつ埋めていくことにあります。
■ 第3章 リユースPCの環境価値
──PCのCO2は「使う時」よりも「作る時」に多く出る製品があります。
PCの環境負荷を考える際には、使用中の電力だけでなく、新しい製品を製造する際に発生する温室効果ガスも考慮する必要があります。
製品ごとに構成比や使用条件は異なるため、すべてのPCに同じ割合を当てはめることはできません。一方で、すでに存在するPCの再使用が新品の購入を代替し、その後一定期間使用される場合には、新規製造に伴う環境負荷を抑えられる可能性があります。
Appleが2026年3月に公表した「MacBook Air (M5) Product Environmental Report」では、15インチ・512GBモデルのライフサイクル全体の温室効果ガス排出量145kg-CO2eのうち、材料・製造工程が24%、製造時の電力が38%、再生可能エネルギーに関連する排出が1%とされています。製造に関係する段階を合わせると63%を占めます。
なお、この構成比はMacの使用期間を4年と仮定して算定されたものです。実際の使用期間が長くなるほど、ライフサイクル全体に占める使用時の電力による排出の割合は高くなります。
ITU・UNITARの「The Global E-waste Monitor 2024」によると、2022年には世界で約6,200万トンの電子廃棄物が発生し、正式に回収・リサイクルされた割合は22.3%でした。
また、環境省の「第五次循環型社会形成推進基本計画」では、循環型社会ビジネスの市場規模を2030年度に80兆円以上とする目標が掲げられています。廃棄する前に、まだ使える製品をできるだけ長く使い、次の利用者へつなぐことは、循環型社会を考えるうえでも重要な選択肢です。
資源循環を止める「データへの不安」
PCを次の利用者へつなぐ際には、個人情報や業務データを適切に消去できるかも重要な論点です。
PCそのものが利用可能であっても、「データが残っているのではないか」という不安があれば、安心して手放すことはできません。リユースを進めるためには、単に「捨てずに再利用する」と呼びかけるだけでは不十分です。
誰が、どのような方法でデータを消去し、安心して次の利用者へ渡せる状態にするのか。データ消去という実務も、PCを循環させるための重要な要素です。
■ 第4章 これからの25年
──“まだ使えるPC”が大量に生まれる時代へ。
PCの使われ方そのものも、この約四半世紀で変化しています。内閣府の「消費動向調査」によると、PCの平均使用年数は2002年3月の4.1年から、2026年3月には7.7年となりました。
その背景の一つには、PCの長期使用を支える製品設計や品質管理の取り組みがあります。例えば、Lenovoは現在のThinkPadシリーズについてMIL-STD-810Hに基づく耐久試験や品質確認を案内しており、日本HPも法人向けEliteBookシリーズで、温度差や落下、高湿度などさまざまな利用環境を想定した品質・堅牢性試験を公表しています。
こうした耐久性や信頼性を高める取り組みは、PCを長く使うためだけでなく、使用を終えたPCを状態に応じて再使用するための土台にもなります。
直近3年で、「故障」を理由とする買い替えは17.1ポイント低下

買い替えの理由も変化しています。内閣府「消費動向調査」によると、PCを買い替えた理由のうち「故障」は、2024年3月調査の56.1%から2025年3月48.5%、2026年3月39.0%へ低下しました。同じ期間に「その他」は20.0%から42.9%へ増加しています。「上位品目への移行」は、2002年3月の55.8%から2026年3月には18.1%となりました。
調査票の選択肢は「上位品目が欲しかった/故障した/住居の変更/その他」の4つです。OSのサポート終了やソフトウェア要件による買い替えは、専用の選択肢がないため「その他」に含まれる可能性があります。これは当社の解釈であり、「その他」の具体的な内訳を示すものではありません。
一方で、直近3年間では「故障」を理由とする買い替えの割合が低下する一方、「その他」の割合が上昇しており、買い替え理由の構成が変化していることが分かります。
現在は、OSやソフトウェアの要件、組織の更新時期などによって、まだ利用可能なPCが役割を終える場面もあります。こうしたPCを適切に見極め、再整備して次の利用者につなぐことが、これからのリユースPCに求められる役割の一つです。
01 OS・ソフトウェア要件による更新
Windows 10のサポート終了など、ハードウェアの故障とは別の理由でPCが更新対象になることがあります。
02 教育・法人での一斉更新
GIGAスクール端末や企業の業務用PCなど、一定の更新サイクルによってまとまった台数のPCが役割を終える場面があります。
03 再使用の政策的後押し
資源循環政策の中では、廃棄する前に製品を再使用することの重要性が高まっています。
04 次の使い手へ
役割を終えたPCのすべてが、次の利用者に使えるわけではありません。性能や状態、安全性を確認し、再利用できる端末を見極めることが必要です。
故障以外の理由で役割を終えたPCも含め、まだ利用できるものを廃棄せず、適切に再整備し、必要とする次の人へつなぐこと。それが、これからのリユースPCに求められる役割の一つです。
■ 第5章 市場の変化とともに歩んだリングローの25年

リングローは2001年の創業以来、25年間にわたりリユースPCの再整備・販売に携わってきました。
創業当初、リユースPCは価格の安さが大きな価値である一方、品質や故障、購入後の対応などへの不安を持たれやすい商品でもありました。リングローでは、再整備・検査、データ消去、保証、購入後のサポートなど、「リユースPCでも安心して使える」ための仕組みを事業の中に一つずつ加えてきました。
現在、法人取引実績は累計1,600社以上、PCの年間販売台数は20万台以上です。購入後のサポート対応は年間約7,000件となっています。また、自社では月間8,000〜1万台規模のPCを再整備・生産しています。
※販売するPCには再整備済みの状態で仕入れるものも含まれるため、販売台数と自社での再整備・生産台数は一致しません。
データ消去についても、PCの調達経路によって対応が異なります。データ消去済みの状態で仕入れるPCもある一方、企業等から直接買取・回収するPCについては、リングローが自社でデータ消去を実施しています。
※自社でデータ消去を行った買取・回収PCは累計3,000台以上で、この数字にはデータ消去済みの状態で仕入れたPCは含まれていません。
また、PCの再整備では通常6工程、自社ブランド「R∞PC(アールピーシー)」では7工程を経て製品化しています。
これらの数字は、販売規模だけを示すものではありません。品質、データ、保証、購入後の対応といったリユースPCへの不安に向き合い、安心して選んでもらうための実務を25年間積み重ねてきた結果でもあります。
今回の回答者の間では、これまでと同じ製品・台数・更新時期を前提にするのではなく、業務に必要な条件を整理し直す必要性が意識されていることがうかがえます。
■ 代表取締役 碇 敏之(いかり・としゆき)コメント
25年前にこの仕事を始めた頃から、私の中には「まだ使えるのに捨ててしまうのは、もったいない」という感覚がありました。少し古くなったPCでも、手をかけて整備すれば、もう一度誰かに使ってもらえる価値があります。そうしたものを次の人につなぐことに、リユースの意味があると思ってきました。
一方で、当時の中古PCは、今以上に「安いけれど大丈夫なのか」「すぐ壊れるのではないか」と不安を持たれる存在でもありました。だから、ただリユース品を流通させるだけでは足りない。安心して選んでもらえる状態にする必要があると考え、再整備や検査、データ消去、保証、購入後のサポートなど、一つずつ仕組みを積み重ねてきました。
25年を振り返ると、以前よりも性能や品質、保証、サポートまで確認したうえリユースPCを選んでいただける場面が増え、「中古品だから不安」ではなく、「信頼できるものならリユース品も選べる」という見方が少しずつ広がってきたことを実感しています。
私たちが目指しているのは、リユース品を無理に選んでもらうことではありません。新品が必要な人は新品を選び、まだ十分に使えるものが用途に合うのであれば中古も選べる。新品か中古かを先に決めるのではなく、自分に必要な性能があり、安心して使えるかで選ぶ。その結果として、新品と中古が同じように選択肢として並ぶ社会にしていきたいと考えています。
25年前に感じた「もったいない」は、今も変わっていません。次の25年も、まだ使えるものにひと手間を加え、安心して次の人へつなぐ。その積み重ねを続けていきます。
【出典】
・リングロー株式会社「法人PC調達実態調査」(2026年7月)
・MM総研「2025年度 中古スマートフォン市場規模の推移・予測」(2026年7月9日)
・内閣府「消費動向調査 2002年3月実施分」
・内閣府「消費動向調査 2024年3月実施分」
・内閣府「消費動向調査 2025年3月実施分」
・内閣府「消費動向調査 2026年3月実施分」
・環境省「リユース等の促進に関するロードマップ」(2026年3月)
・環境省「第五次循環型社会形成推進基本計画」(2024年)
・リユース経済新聞「中古スマホ・パソコン売上ランキング2024」(2025年3月3日)
・Apple「MacBook Air (M5) Product Environmental Report」(2026年3月3日)
・ITU・UNITAR「The Global E-waste Monitor 2024」(2024年)
・Lenovo「ThinkPad」MIL-STD-810H試験に関する公開情報
・日本HP「HP EliteBookの品質と堅牢性のご案内」
<リングロー株式会社について>
2001年に有限会社リペアシステムサービスとして設立し、2026年7月をもって創立25周年を迎えた。創業以来、法人向けの卸販売を中心に事業を展開し、リユースPCの流通と品質管理の基盤を構築。2018年に販売を開始した無期限保証付きリユースPC「R∞PC(アールピーシー)」は、2026年4月に8周年を迎えた。近年では、公式通販サイト「R∞PCダイレクト」を通じて個人向け販売を強化するとともに、大学の新入生向けパソコンとして教育機関での導入実績を有するなど、利用シーンの拡大が進んでいる。
【会社概要】
・名称 :リングロー株式会社
・代表取締役:碇敏之
・本社所在地:〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-8-8 THE CORNER池袋4階
・事業内容 :リユースPCの販売・修理・買取
・URL :https://www.ringrow.co.jp/(リングロー公式HP)
報道関係者お問い合わせ先
広報担当:藤井(ふじい)
TEL:070-1267-5096
FAX:050-3358-2391
E-mail:pr-contact@ringrow.co.jp


